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醤油のはなし


この食品は食べてもいい
船瀬俊介
マクロビオティック(日本CI協会)2003.5月号掲載
本物は     琥珀の芳香 しょうゆ偽者は 戦慄の人毛原料
ベストチョイスは「国産」「有機」「丸大豆」「無添加」「二年熟成」
「NO 遺伝子組替」
まとめて買いおきをすすめる
アミノ酸しょうゆの原料欄に「人毛」
もう、20年以上前のことだ。
わたしが日本消費者連盟のスタッフだったときのエピソード。
若い新聞記者が、船瀬さん何か面白いネタないですか?と聞いてきた。

ちょうど面白いテーマを追っていたので、彼にクイズを出した。
「床屋さんへ、髪の毛の回収にくる業者さんがいます。さて、次の職業のうちどれでしょう?
@カツラ屋さんA人形屋さんB佃煮屋さん。」
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若い記者は首をひねっているので「正解は、B佃煮屋さんです」といったら「エーッ!」と素頓狂に 驚きの顔。実は人間の髪の毛は、合成しょうゆの原料となるのだ。正式にはアミノ酸しょうゆという。
わたしも業界筋から、この話を聞いて、ほんとうかと思って専門書などをひもといて調べて見た。
すると「醤油製造」の解説には、ちゃんと”アミノ酸しょうゆ”の項があり、その原材料の一つに ”人毛”と明記されていたのだ。わが目を疑った。業界筋によれば「アミノ酸しょうゆは、業務用 に使われています。
市販の佃煮の味付け、着色に使われたり・・・・」とのこと。 そこで、冒頭の若い記者さんへのクイズとなったわけだ。


「よそが書けないから書けない・・・」記者
そのリアクションも書いておかねばなるまい。
その記者クンは「エーッ! そりゃあ、面白い」と身を乗り出しかけて「あ・・・やっぱりダメだ。まっずいなァ・・・。 書けないっすよ」と唇をかむ。エッ・・・どうして、と彼の顔をのぞきこむと「だって、まだどこも書いてないっスから」。
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これにはアングリ、目がテンになった。新聞記者の口から「よそが書いていないから書けない・・・」という 言葉が出たのである。 この若い記者は、”スクープ”という言葉の意味を習わなかったのだろうか。ちなみに彼は朝日の若手記者 だった。朝日新聞は、だいじょうぶか?と、心配になったものだ。(最近のスキャンダル続きも当然の結果か ・・・・残念)。
「他社が書かないければかけない・・・」は、日本のマスコミの不文律になっているようだ。 そして「みんなで書けば怖くない」と、ばかりに一斉に殺到して餌食にしてしまう。
閑話休題。


インド人の髪の毛を原料に輸入!
さて、この朝日の記者をも驚かせた”人毛しょうゆ”。わたしは戦後の食糧難のときの苦肉の代用品で、 いまは、まさか作ってはいまい、と思っていた。
ところが、最近、わたしの先輩ジャーナリスト、平澤正夫さんが『これを食べよう、あまいぞ安全!』(講談社文庫) を上梓された。その中で「かくし味/インド人の髪がしょうゆに」という見出しが目に飛び込んできた。
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消費者運動にたずさわる知人の話として紹介している。その内容は・・・ある弁当屋の倉庫で、しょうゆの 入った一斗缶があった。大手製薬会社の名の「○○醤油」というブランド。製造元の住所がなぜか郵便局 止。そこで製薬会社に問い合わせると関連会社の製品であると判明した。
ところが、その会社は住所や電話番号すら明かさない。 知人は郵便局に問い合わせてみるた。すると「・・・・その会社は、インドから荷物がくる。 また、あやしげな物の廃棄物もあるとかで・・・」と声をひそめた。


日本人の髪は染毛剤などでつかえない
平澤さんは、こう記す。「しょうゆのなかでも、いちばん粗悪なものは、たんぱく質に塩酸をくわえ、 加水分解してとったアミノ酸を原料にする」
アミノ酸しょうゆは、いまも生き延びていたのだ。「そのアミノ酸の出所が問題で、ウシやブタの血液 とか、かつらの材料にした頭髪ののこりものを使うことがある。
日本人の髪は、整髪料や染色剤を多用するので、ダイズを原料にしないで科学的におこなう前処理 に手間取る。中国人の髪も最近は日本人なみになりつつあり、いまやインド人のが好適らしい」 (平澤さん)


髪の毛しょうゆは街の弁当屋へ・・・?
わたしは、約20年前、この”人毛しょうゆ”のことを知り「アウシュビッツまで、あと十一歩・・・」と書いた。 しかし、その後も、二歩も三歩も進んで入るようだ。 平澤さんは、「・・・髪の毛しょうゆは、駅弁とか巷の弁当屋の弁当に使われるのではないか」と 推理する。 「しょうゆにかぎらない。いわゆる業務用の食材はいちいち表示されないので、消費者のブラック ボックス。ミステリー以上にゾッとする実話が無数にころがっているだろう」(平澤さん)
こんな、ソラ恐ろしい”しょうゆ”モドキが出回ると、そもそも本来しょうゆとは、どうしてできるものかも、 あやふやになってしまう。
悪くすれば、悪貨が良貨を駆逐しかねない。
髪の毛しょうゆの戦慄
ほんものの原点を、もう一度、しっかり確認しておこう。


大豆のうま味、小麦の甘味、発酵の妙
本来、しょうゆの造り方は
(本醸造しょうゆの製法)
@大豆を蒸す→A小麦を炒り砕き混ぜる→B種麹を加え混ぜる→C適温で寝かせる→ D「しょうゆ麹」となる→Eタンク内で食塩水と混ぜる(諸味)→F発酵が進み熟成させる →G諸味を絞り液をとる(生揚げ)→H加熱する→I容器詰して出荷
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まず、なぜ、大豆と小麦を原料とするのか?
大豆は、たんぱく質が豊富である。小麦はでんぷん質が多い。たんぱく質は、タンク内部で 食塩水に溶けると旨味成分であるアミノ酸に変わる。これが、しょうゆの旨味の元となる。 また、小麦やコメは、でんぷん質がブドウ糖に変わる。
つづいて、カビの一種、しょうゆ麹のなかの麹菌がふくむ酵母や、乳酸菌が、これらアミノ酸 やブドウ糖を盛んに食べる。
すると、その生命活動から、しょうゆの@香り、A酸味、B渋み、C色沢が醸し出されてくる。 それにD大豆の旨味、E小麦の甘味、F塩の辛味・・・などなどが渾然一体となって、あの しょうゆの深い風味が生まれてくる。
これらが深い滋味芳香を生み出すには、じっくりと長い熟成期間が必要だ。 普通の本醸造しょうゆは六ヶ月ほどで出荷する。しかし、良心的なメーカーは一年以上は 熟成させる。


86%が脱脂大豆(油カス)を原料
かつて、業界最大手のキッコーマン(株)が、「丸大豆醤油」を新発売したとき、業界は驚いた。 なぜか? それまで、大手のしょうゆは、脱脂大豆使用が半ば常識だったからだ。 脱脂大豆は、昔は油カスと呼ばれた。つまり、大豆油をとった後の絞りカスだったから、こう呼ばれ た。わたしは小学校のとき、肥料の原料に油カスとあり、なんだろうと頭をひねったものだ。
つまり、大豆油の絞りカス。一種の産業廃棄物なので、畑のコヤシにするしかなかったのだろう。 しかし、そこには油は抜かれても、たんぱく質は残っている。そこに大手しょうゆメーカーが目をつけ、 しょうゆ原料として活用したのだ。なにせ、たんぱく質ならブタの血から人間の髪の毛まで、手を出し た業界だ。 絞りカス大豆などは、原材料としては”高級”なほうだったのかも、しれない。
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大手でも原料「丸大豆」と表記していない商品は、いまだ、脱脂大豆(油カス)だ。
なぜなら、1996年度の統計でも、しょうゆ原料大豆は、わずか2万6721トン。これに対して 脱脂加工大豆は17万62トンにも達する。なんと、しょうゆ原料大豆の86%が、脱脂大豆(油 カス)なのだ。
平澤さんの指摘では「1986年の時点では、大豆はまだわずか5004トンにすぎなかった。 表示を読めば脱脂加工大豆と書いてはあるけど、消費者はしょうゆは大豆からつくると思い こんでいるから、一杯くわされたというのが平均的な気持ちであろう」(同書)
しょうゆを英語で”ソイソース”と呼ぶ。”ソイ”とは大豆のことだ。だから原料は、100%ほんもの の大豆(丸大豆)であってほしい。
「発酵させて味に深みをつけ、よりうまく食べる方法にかけて、日本人ほど、優れた技術を持った 民族はいないだろう。味噌、しょうゆ、納豆、日本酒、酢、塩辛、鮨、漬け物、甘酒・・・・まな比類 のない傑作ばかりである」。
古代食研究の第一人者、永山久夫氏は自著「たべもの古代史」(新人往来社)で、絶賛している。
日本は世界最高の発酵食品王国
「・・・漬け物や鮨につけるしょうゆや味噌など、基本的な調味料の旨味は、アミノ酸であり、この アミノ酸を、日本人は2000年以上も前からとり続けてきた」
さらに永山氏はこう言う。
「・・・味覚構造が、アミノ酸のうま味を土台にして出来ており、体の芯までしみこんでいるため、 味噌やしょうゆの匂いにふれないと、不安になって落ち着きをなくしてしまう原因になっている」。
この世界に誇る調味料ソイソースのルーツは、どこにあるのだろう。
古代人は、その各々の生活体験から、さまざまな発酵食品をつくりだしてきた。
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しょうゆのルーツは、おそらく記録に残る「穀醤(こくひしお)」だろう。 これはヒエ、アワ、コメ、ムギ、大豆などの素材に塩や酒などを加えて発酵されたもの。 味噌やしょうゆの祖先という。そのまま、なめたり、調味料としてつかった。
しょうゆは、大豆をアミノ酸の原料として発酵させたもの。アジアには、他に肉を発酵させた 「肉醤(にくひしお)」が伝わる。鳥や獣の肉や内臓を塩蔵して発酵させたもの。同様に「魚醤」 は魚、貝、タニなど魚介類や香辛料と漬け込んだ物。「草醤」なるものも。これは、野菜、果実、 野草などを塩、酢、糟などで漬けたもの。
こうしてみると、古代人は、現代人よりはるかに創意豊かで、栄養と風味満点の食材・調味料 をつくりだしていたことに感心する。 人間の髪の毛を、密かに原料とするような行為が、いかに破廉恥なことかが、あらためて わかる、というものだ。


戦後、ニセモノしょうゆがゾロゾロ
さて、しょうゆをめぐる不正は、”人毛しょうゆ””脱脂大豆”だけではない。
敗戦後に生まれたのが”化学しょうゆ”だ。本物のしょうゆでは麹菌や酵母の作用で、たんぱく 質を加水分解してアミノ酸とする。ところが、その加水分解を塩酸でやってしまう方法が”開発” されたのだ。これを、アミノ酸液と呼ぶ。このアミノ酸液80%未満、本醸造しょうゆ20%以上を 混ぜたものが”アミノ酸液混合しょうゆ”。 わずか2〜3日でできてしまう。伝統的本格しょうゆは六ヶ月から一年かかるのに、アッという 早業だ。
要領のいいメーカーは、このインスタントな”化学しょうゆ”に殺到した。 原材料は、ブタの血であろうとたんぱく質であれば何でもOK.そこで”人毛”までもが、かきあつ められたという次第だ。さらに腐りやすいのでソルビン酸や安息香酸ナトリウムなどの合成保存 料がブチこまれてきた。
しかし、政府は「少なくとも人体の一部を食用原料としてはならない」くらいの禁止令はだすべき であった。ほっておけば、文字通り、人間の脂で石鹸までつくったというアウシュビッツまで、行っ てしまいそうだ。


諸悪はJAS(日本農林規格)にあり
2〜3日の早業では気が引けたのか”新式醸造しょうゆ”なる定義も出てきた。 これは本醸造しょうゆの混合率(ブレンド比)が40%以上。
「しょうゆのルーツは穀醤だった」
その分、熟成は10〜40日間かかる。それでも、一年は最低寝かせるという本格しょうゆに くらべればインスタントであることに変わりがない。どうして、こういうケッタイな”新タイプ”の しょうゆが次々に出てくるのだろうか?
実は、これら製法、名称はJAS(日本農林規格)が定義、認定しているのだ。国家がニセモノ にお墨付きを与えるのだから呆れる。
ドロボーに通行手形を与えるようなもの。全国各地で、本物の伝統食品づくりにこだわって いる人たちから「JASは、われわれの敵です』という言葉を何回も聞いた。
本物とニセモノをごっちゃにして、喜ぶのはニセモノ、迷惑するのは本物である。政治がニセモノ 業者の側についている(グルである)ことは、一目瞭然だ。


「国産」「有機」「丸大豆」「無添加」・・・を
わたしが「これが本物の香りか!」とカルチャーショックを受けたしょうゆがある。それが、 和歌山県御坊の堀川屋野村の三ツ星醤油。手作りで二年熟成するという。
小皿に注ぐと、奥深い香りが室内を満たすのでは・・・と思うほど馥郁と立つ。
このような本格派の伝統しょうゆで、調味した料理こそが、本物の日本料理といえる。 ニセしょうゆで作った料理まで、ニセ料理になってしまう。
せめて、口に入るものくらいは、徹底的にこだわって本物を揃えたい。おなじ一回きりの 人生だから、ニセモノにだまされる暮らしは、悔しいだけだ。
ベストは「国産」「有機」「丸大豆」「で「無添加:」「二年熟成」であろう。とうぜん「遺伝子 組替え大豆不使用」・・・・。これは! と思うものを見つけたら一万円分くらい、ドーンと 買い置きして置こう。日々の料理に、本格しょうゆの滋味芳香が立ち、和の味わいの奥 深さを堪能できるだろう。





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